これで子や孫までスレブレニツァでまた暮らせる。ありがとう。ボスニア紛争悲劇の街、復興支援の記録

これで子や孫までスレブレニツァでまた暮らせる。ありがとう。ボスニア紛争悲劇の街、復興支援の記録の詳細

私は、この本の舞台となる「スレブレニツァ」という場所に、２００２年の終わり頃に行ったことがある者です。第二次世界大戦後、欧州で起きた最大の虐殺が行われた場所と言われるだけあって、正直、（誤解を恐れずに申し上げると）お化けが出るんじゃないかと思うほど気味の悪い場所で、重苦しい雰囲気が充満していました。この本に書かれてある支援活動は、そんな人々の行き場のない悲しみと絶望感が充満する場所で、現地の人々の気持ちや人々が直面している現実と真摯に向き合い、「異民族間の信頼醸成」を目的として、現地の人々が前に進む術と生きる気持ちの復興を果たせるように支援しています。この本を書いた専門家は、当時の欧米の世論（セルビア人悪玉論）にも動じず、徹底的に異民族同士の公平性に配慮し、日本人だからこそ出来る関り方で、現地に住み込み、現地の人の目線を何よりも大切にしながら各種の事業を進められており、その手腕は圧巻としか言いようがない。平和構築や復興支援、あるいは平和教育などに関心を有する人には是非とも一度は手に取って読んで考えてもらいたい一冊です（二人の専門家の閑話休題的な掛け合いトーク欄も秀逸です！）。