ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫) epubダウンロード
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)
によって 酒井 健
4.9 5つ星のうち(13人の読者)
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫) epubダウンロード - 受賞歴第22回(2000年) サントリー学芸賞・思想・歴史部門受賞内容(「BOOK」データベースより)おびただしい柱列、過剰なまでの突起や彫刻、秩序や比例を超える高みをめざしたゴシック建築。アミアン、ケルン、シャルトルなどヨーロッパの多くの都市に今も残るこれらの教会の異様な建築様式はなぜ生まれたのか。聖堂内部は大自然のイメージで彩られ、故郷を追われた異教徒である農民たちの信仰心をキリスト教化するのに役立つ一方、その昇高性や過剰な装飾性は国王や司教たちの権威の格好の象徴となった。ゴシック様式を論じるにとどまらず、誕生から受難そして復活にいたるまでを、歴史・社会・文化的な深みに降り立ち、十全に解き明かしたサントリー学芸賞受賞の意欲作。ゴシック復活としてのガウディ論を追補した決定版。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)酒井/健 1954年、東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業後、同大学大学院に進学。パリ大学でバタイユ論により博士号取得。法政大学文学部教授。『ゴシックとは何か』で2000年サントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)の詳細
本のタイトル : ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)
作者 : 酒井 健
ISBN-10 : 4480089802
発売日 : 2006/5/1
カテゴリ : 本
ファイル名 : ゴシックとは何か-大聖堂の精神史-ちくま学芸文庫.pdf
ファイルサイズ : 28.16 (現在のサーバー速度は20.92 Mbpsです
以下は ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫) の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
本書は副題の通り,あくまで精神史の観点からゴシック様式について述べた本である。前半はゴシック様式の誕生した経緯について。すなわち,「森林から抜け出た元農民たちは,都市でも母なる森林を必要とした」結果としての高層・過剰装飾・列柱のゴシック様式なのだということを語っており,様々な論拠を挙げていて強い説得力を持っている。特にバタイユを引いて聖性の二極面を説明し,死や自然への畏敬が教会へ入り込んでいったことを紹介したあたりは,とてもこの著者らしくて良い。ただし,精神史を焦点としているといえど周辺的な事情についてはばっさり省いた説明になっている点を挙げておかねばなるまい。商業の復活と都市人口の増加により城壁の内側の面積が不足し,高層化の傾向が強まったこと。その延長線上にゴシック建築があることや,建築技術の発展はイスラーム文明の流入(12世紀ルネサンス)に負うこと等もほとんど記述が無い(12世紀ルネサンスについてはスコラ学のところで触れているにもかかわらず)。完全に精神史に焦点を当てたはいいがそれで全て説明しようとしているところは,危うい。何より叙任権闘争に関連する事項は全くと言って記述が無かった。叙任権闘争があったからこそ教会は教義や儀式を西欧中に行き渡らせることができたのではなかったか。ずらずらと説明しろとは言わないが一言二言添えるだけでも違ったはずで,よく知らずに本書を手にとった読者が,勘違いしないかちょっと心配である。後半はルネサンス以後の精神史,ゴシックに対する毀誉褒貶を追う章となっている。こちらもおもしろいし,簡潔にまとまっている。こうして読むとルネサンスはゴシックの反発として全てをひっくり返しているなぁと。宗教改革はまだしも,ルネサンスがこれだけ残念系で語られる書物もなかなか無い。ゴシック=リヴァイヴァルの部分ではイギリスの庭園文化やピクチャレスク・廃墟・崇高などにも触れており,アレグザンダー・ポープやジョゼフ・アディソン,エドマンド・バーク,ホレス・ウォルポールといった名前も上がっている。この辺りの簡潔なまとめとして優れている。一方,ところどころに著者のど直球な感想が入り込んでいるのも興味深い。特に宗教改革ではカルヴィニズムにはかなり手厳しい記述になっているが,何か恨みでもあるのか。「エッフェル塔は崇高ではない」などもこれ自体意見の分かれるところだろう。
0コメント